ホールは、心配そうに考えこんでしまった。ヘンフリイは、なおもくどくどと、
「用心したほうがいいぜ。おれのおばさんもね、ヘイスティングズでやはり宿屋をやっているがね。見なれぬ客がえらく大きなりっぱなかばんをさげてきたのをみて、すっかり信用してしまったのさ。ところがそのかばんは中がからっぼで、それに気づいたときは、たくさんの宿料をふみたおされて、逃げられたあとだったんだ。おめえたちも、怪しい客には、よくよく気をつけたほうがいいぜ」
「ありがとう、ヘンフリイ。こいつはどうも、うちのやつにちょっくら、言ってきかせなくてはなるまい。これから大いそぎで帰ろう」
 すっかり不安になった黒馬旅館の主人ホールは、馬にひとむちあてると、いちもくさんに家へむかって走った。
 いきおいこんだホールが家にとびこむと、
「おまえさん! いつまで外をうろうろしてたんだい? また油を売ってたね。そうでなくて、こんなにながく時間がかかるはずがないじゃないの!」
 ホール夫人のがみがみとどなりつける声がとんできた。

訪問介護・デイサービス:介護事業起業独立開業 大分市デイサービス リハビリ 機能回復 脳トレ 介護サービス 認知症予防 ...